松岡静雄
明治11年生まれ、昭和11年没
海軍兵学校を首席で卒業、海軍少尉、中尉、大尉と昇進し、日露戦争では巡洋艦千代田の航海長として仁川沖の海戦に参加。日露戦後海軍兵学校教官兼監事、軍令部参謀を経、海軍少佐に昇進。明治42年、オーストラリア大使館付武官として渡欧。大正2年帰国、海軍中佐に昇進。大正3年第一次世界大戦に伴い、巡洋艦筑波の副長としてドイツ艦隊を追撃し、独領のミクロネシア・ボナペ島を占領、統治する。半年後、病のため帰国。海軍省文庫主管に任命され、戦史編纂に携わる。大正5年に海軍大佐に昇進するも、大正7年に退役し、日蘭通交調査会を設立、日蘭文化交流に務む。退役後は言語学、民俗学、古典研究に打ち込み、子ども向けの「播磨風土記物語」や昭和4年には「日本古語大辞典」を独力で編纂・完成させている。実兄・井上通泰が、医学者、文学者として常に陽のあたる場にいたのに対し、静雄の国文学研究は軍人ゆえ地味である。しかし、「古語大辞典」はその後の国文古典研究の礎として、現在も重要な基礎資料である。
著作一覧
- 『椰子栽培法』農商務省農務局、1915年
- 『送仮字法』海軍軍令部戦史編纂、1915年
- 『南溟の秘密』春陽堂、1917年
- 『和蘭語文典』(未定稿)日蘭交通調査会、1918年
- 『蘭和辞典』日蘭交通調査会、1921年
- 『爪畦史』岩波書店、1924年
- 『通俗文法講話』国語書院、1925年
- 『中間階級の研究』聚英閣、1925年
- 『太平洋民族誌』岡書院、1925年
- 『日本言語学』刀江書院、1926年
- 『チャモロ語の研究』郷土研究社、1926年
- 『日本古俗誌』刀江書院、1926年、日本図書センター 1983年
- 『播磨風土記物語』刀江書院、1927年
- 『ミクロネシア民族誌』岡書院、1927年
- 『民族学より見たる東歌と防人歌』大岡山書店、1928年
- 『常陸風土記物語』刀江書院、1928年
- 『中央カロリン語の研究』郷土研究社、1928年
- 『日本国体本義』日本国体本義編纂審議会、1928年
- 『日本古語大辞典』第1巻(語誌)・第2巻(訓話)刀江書院、1929年
- 『マーシャル語の研究』郷土研究社、1929年
- 『パラウ語の研究』郷土研究社、1930年
- 『中等学校に於ける国語研究並に教授法』、1930年
- 『歌学』新興学会出版部、1930年
- 『紀記論究神代篇1創世記』新興学会出版部、1930年
- 『ボナペ語の研究』郷土研究社、1930年
- 『紀記論究神代篇2諾冊二尊』同文館、1931年
- 『紀記論究神代篇3高天原』同文館、1931年
- 『紀記論究神代篇4出雲伝説』同文館、1931年
- 『紀記論究神代篇5国譲』同文館、1931年
- 『紀記論究神代篇6高千穂時代』同文館、1931年、全巻復刻教育出版センター、1986年
- 『ヤップ語の研究』郷土研究社、1931年
- 『紀記論究建国篇1神武天皇』同文館、1931年
- 『紀記論究建国篇2大和欠史時代』同文館、1931年
- 『紀記論究建国篇3師木宮』同文館、1931年
- 『紀記論究建国篇4日代官』同文館、1932年
- 『紀記論究建国篇5国内統一』同文館、1932年
- 『紀記論究建国篇6外藩帰伏』同文館、1932年、全巻復刻教育出版センター、1986年
- 『伊予上代史考 伊曽乃神社』郷土研究社、1932年
- 『紀記論究外篇古代歌謡』(上・下)同文館、1932年
- 『国語と民族思想』第1輯、1933年
- 『万葉集論究』第1輯、竜華社、1934年
- 『国語と民族思想』第2輯、1934年
- 『国語と民族思想』第3輯(国語教育是正号)、1934年
- 『万葉集論究』第2輯、竜華社、1934年、教育出版センター、1986年
- 『国語と民族思想』第4輯(上代思想研究号)、1934年
- 『国語と民族思想』第5輯(文法研究号)、1935年
- 『簡易文典』、1935年
- 『ミクロネシア語の綜合研究』岩波書店、1935年
- 『有田縁歌と防人歌』瑞穂書院、1935年
- 『神楽舎講堂湘南国語研究会誌』第1輯〜第9輯、1935〜1936年
- 『国体明徴上の一考察』時事新報社、1936年(以後没後刊行)
- 『新篇日本古語辞典』刀江書院、1937年
- 『増補日本古語大辞典』刀江書院、1937年、復刻東出版、1995年
- 『神楽台黙語』書物展望社、1938年
- 『日本固有民族信仰』刀江書院、1938年
- 『松岡静雄滞欧日記』 中村義彦編、山川出版社、1982年。
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